ピザを求めて三千里~アメリカで触れたウォームハート~
だいぶ時間が経ってしまいましたが、昨年秋の米国出張の際の思い出話を一つしたいと思います。
昨年9月に環境大臣に就任早々、鳩山総理(当時)と御一緒させていただき、国連の気候変動サミットに出席するため、昨年9月21日からニューヨークに行ってまいりました。温室効果ガス25%削減という野心的な目標を掲げた国連気候変動サミットでの鳩山総理(当時)の演説への反響は極めて大きなものがあり、日本が国際社会においてこれほど大きなリーダーシップを発揮したことは、かつてあまり例がありません。日本の政権交代を世界に強く印象付けた演説でした。私自身も、米国、中国、インド、デンマーク等の八カ国の環境大臣等と精力的に会談を行い、気候変動問題に関し、率直、かつ、貴重な意見交換をさせていただくことができました。日本としての強い決意を伝えるとともに、各国の一層の協力を直接働きかけることができました。
一方、初めての国連総会出席、初めての二国間会談等初めて尽くしの海外出張で、やはり恋しくなるのは普段食べ慣れた食事です。私は普段から気取った堅苦しい食事は大の苦手です。特に今回の訪問地はアメリカということもあり、自他ともに認める庶民派の私としては、出張も後半になると、普段食べ慣れたピザやパスタを無性に食べたくなりました。そこで、ニューヨークの次の訪問地であるピッツバーグでは、環境省出張者チームで庶民的なイタリア料理のお店に行くことにしました。折しもニューヨークでの最終日では鳩山総理(当時)も同じ気持ちであったらしく、国連総会での一般演説の後の昼食は、総理御一行はピザを食べにいくことになり、私にもお誘いがかかりました。しかし、私はその晩、環境省チームでピザを食べに行くことにしていたので、ぐっとこらえて晩を楽しみに、ピッツバーグへと向かいました。
ピッツバーグに到着したのは9月24日夕刻。環境省から米国大使館に出向しているK君が宿泊先のホテルの近くに見つけてくれた庶民的なイタリア料理のお店に足を運びました。テーブルに座り、メニューを開けてみたところ、パスタのメニューはありますが、ピザのメニューはありません。「ピザのメニューもお願いします。」と頼んだところ、返ってきた答えは、「うちの店ではピザはお出ししていません。でも、うちのパスタは最高だよ!」との明るい答え。私がピザを楽しみにしていたことはK君も知っていましたので、店のメニューにピザがないと聞いたK君は、その場で冷や汗をどっと流していました。パスタはもちろん楽しみにしておりましたが、ピザも楽しみにしていた私は、K君を慰めつつ、店員さんに事情を説明した上で、やむなく別の店へと向かうことにしました。
お店を出て、ピザ屋さんを探すこと30分、行けども行けどもなかなかピザ屋さんが見つかりません。ガイドブック等を開き、適当なお店を探し続けたところ、ようやく雰囲気の良さそうなピザ屋さんを一つ見つけることができました。これでようやく美味しいピザを食べられると思い、席に着くなり、まずはワインを注文しようとしたところ、帰ってきた答えは、「うちの店ではワインはお出ししていません。もちろん持ち込みはOKです。」との答え。さて、どうしたものかと思案し始めていたら、すかさず隣のテーブルの三人連れの方から、「私たちが飲んでいるワインが1本余っているので、もしよろしければどうぞ召し上がってください。」との大変暖かい申し出がありました。「ありがとうございます。でも、どうして?」とお伺いすると、「私たちピッツバーグ市民は皆、パイレーツの大ファンなのです。明日夜のパイレーツの試合では、パイレーツ球場で日本の鳩山首相が始球式をされるとのニュースを聞いてとても嬉しいのです。皆さんは日本の方ですよね。このワインは私たちの気持ちとして受け取ってください。」とのこと。
異国の地での暖かい心遣い、これほどうれしいものはありませんでした。もちろん、私たちも近くのワインショップでワインを購入し、そのうちの一本を先ほどのテーブルの方にお礼の言葉を添えて差し上げました。日米親善は、会議出席だけがすべてではありません。始球式への参加など、地元の方々を意識した取組も大事、それを実感したひとときでした。
さて、ワインの心配がなくなり、早速、ピザを注文しました。そして、次にパスタを注文しようとしたところ、パスタのメニューがありません。そこで「パスタのメニューもお願いします。」と頼んだところ、今度返ってきた答えは、「うちの店ではパスタはお出ししていません。でも、うちのピザは最高だよ!」との明るい答え。ピザとパスタの両方を楽しみにしていた私としては、この期に及んではあきらめざるを得ません。おいしくビザをいただくこととしました。パスタは食べられませんでしたが、普通のお店の普通のピザはやはりとても美味しく、また、ピッツバーグの地元の方の暖かい心遣いに触れることができ、とても嬉しい経験をすることができました。
気候変動問題を始めとする外交交渉も、最後の決め手となるのは一人ひとりの友好関係です。そして、国と国との関係も、草の根レベルでの友好な関係があって初めて成り立つものです。人類社会の最大の課題の一つである地球温暖化問題については、国際社会の一致結束した取組が必要となります。そして、そのためには、首脳レベルから草の根レベルまで、様々なレベルでの対話と働きかけが重要となります。私も、各国の環境大臣等の方々一人一人と友好関係を築き、地球温暖化問題の解決に向けて、少しでもお役に立てるよう引き続き頑張りたいと思います。








